万年筆で縦書きして、向田邦子が言われたこと。

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    向田邦子(1929-1981)

 

万年筆 

向田邦子さんがパリの文房具店で万年筆を試し書きすると、

「ノン、ノン」と言われた。縦書きをするなと言う。

 なるほど、日本語は上から下への縦書き、アルファベットは左から右への横書き。ペン先もそのように作られているはずだ。

 しかし、パーカーやモンブランを使ったこともあるが、縦書きで引っかかるとか、インクの出が良くないということもなかった。

パリの販売員は仕事熱心だったのか。

ノン、ノン! 端整な向田邦子さんとちょっとおしゃべりを愉しみたかったのに違いない。

 

そういうことなのでしょうね。

万年筆は縦書きに適さない! なんてことは特に耳にしませんし。

 

万年筆 ーー fountain pen, stylo plume, Füllfederhalter。

英語、ドイツ語では「泉のペン」、フランス語では「羽のペン」程度の意味です。

ここ最近、万年筆をよく利用しています。ビジネス、プライベート問わず、「ここぞ!」というときには万年筆を使うことにしています。

 

万年筆のいいところは、字の下手さが「味」になるところ。鉛筆やボールペンでは単にヘタにしか見えない字が、万年筆で書くと、署名・サインのような、逆に絵画のような味わいがあることに気づきました。もらった方も、多分そんなに悪い気はしないはず、と一人合点して、シコシコ書いてます。

 

そういえば、先日、同業の先輩と宴席を囲む機会があり、一人の先輩が胸ポケットからモンブランのホワイトスターをチラつかせていました。あざといなー、と思いましたが、反面、「そうか、筆記具は数少ない男の装飾品としても機能するんだ」ということを実感。「pen」とか「BRUTUS」の世界です。

 

 

あ、ちなみにわたしが使っているインクは、パイロットなら「ブルーブラック」、モンブランなら「ミッドナイトブルー」です。 今度、モンブランの「ロイヤルブルー」使ってみようかと。

 

向田邦子さん、ひとめ惚れしちゃうタイプではありませんが、同じクラスになって一緒に係とか委員をやると好きになっちゃうタイプの人かも。

 

写真とエッセイで綴る姉の素顔 向田邦子の青春 (文春文庫)

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