0423 時代が要求する

もちろん、芸術作品とその時代は切っても切れない関係にあります。

しかし…

 

時代が要求する

 小林信彦さんは「奇怪な<日本側の戦後検閲>で七年近くおクラ入りしていた不幸な『虎の尾を踏む男達』」が公開されたとこに触れて、「映画はすぐに公開されないと駄目だと思う」と書いている(『黒澤明という時代』)。これは換言すれば、映画を見るのは封切でなくてはだめだ、ということだろう。なぜなら、映画はその時代を切り取り写しているのだから。

 

虎の尾を踏む男達 [Blu-ray]

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  • 発売日: 2009/10/23
  • メディア: Blu-ray
 
黒澤明という時代

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  • 作者:小林 信彦
  • 発売日: 2009/09/11
  • メディア: 単行本
 

 

その作品が生み出された背景として、その時代状況は切り離せません。

ただ、それが一番フレッシュな封切りでなければダメだ、というのはどうなのでしょうか。

 

わたしが学生の頃、「あの問題作が復活!」という口上で、

多くの映画が復活しました。

 

中学生の頃に『時計じかけのオレンジ』がレンタルビデオに並び、

愛のコリーダ』や鈴木清順封印作品が「京都みなみ会館」でリバイバル公開されていたような。

 

オーネット・コールマンの 『チャパカ組曲』が初CD化したとかで、

御茶ノ水ディスクユニオンで興奮して買った覚えもあります。

 

そういう体験をした人間からすると、

まあ、あまり関係ありませんよ。

わりと追体験できるものだし、逆に後から体験したほうがその重要性がわかるような気がします。