「クラブミュージックについて」(藤本一馬)

クラブミュージック―
―それはもちろんダンスミュージックを意味するのだけれど、
僕にとってのクラブミュージックは、「ダンスミュージック的な側面」と、
「今までに聴いたことのない新しい音楽という側面」との二つがあります。
それは、かつてのジャズが、「常に新しい音楽をクリエイトしていきたい」
としていた精神に通じるものがあると思います。


ハーモニーやリズム、それは音楽の奥深い芸術の世界で、
それらはいままで素晴らしい数々の先人によって発展してきました。
マイルス・デイヴィスがもし生きていたら…とよく言われますが、
やはりマイルスのハーモニーやリズムに対する革新の影響は、
ジャンルを飲み込んでしまう音楽、
新しい音楽としての『ジャズという概念』を再確認させる大きな力で、
それを継承していく形で、今、クラブミュージックが
新たなジャズとしての概念をえようとしていると思います。


ここに集めた音楽たちは単に踊り騒ぐための音楽でなく、
なにか新しさを感じさせるものをもっています。
そこには音楽がただありのままの『その時の今』という形で存在するのです。
それは音楽から映像、ファッション、空間、料理などありとあらゆる創作に
つながっていくものがあると思います。
そしてあなたの感覚は刺激され感じずにはいられなくなるでしょう。


クラブという場所は創造的で新しいもの、革新的な芸術に
出会える場所でもあると思うのです。
僕はそういった音楽で踊りたいのです。


以上は、オレンジ・ペコー(orange pekoe)の藤本一馬の文章。

クラブ、ageHa@STUDIO COAST が経営するレーベルは、
クラブミュージックのコンピシリーズをリリースしているが、
以上の文章は、その内の藤本一馬が担当したCDに寄せられたもの。

「クラブミュージック」というジャンルをよく説明しているので、ここに引いておく。
ジョシュア・レッドマンVillage Vanguardのライナー・ノーツと並んで
私の好きな言葉である。

orange pekoeは、何といっても1stの印象があまりにも強いのだけれど、
この精神に従い、これからもいい音楽を創っていって欲しい。

Menou ageHa Lounge vol.3 compiled by orange pekoe

Menou ageHa Lounge vol.3 compiled by orange pekoe