以下は、6月に京都市内で行われたAuggie(以下、A)と
Oh!矢(以下、O)による対談である。
* * * *
A:こんにちは。
O:どもども。久しぶり。早速だけど、聴いた? ジャミロの新譜。
A:もちろん聴きましたよ!
新譜が出るって聞いたときは、
ホント、「待ってました!」って感じでしたからね。
O:4年だっけ。長いよね。普通なら許されないインターバルだ。
A:まったくです。9.11のことなどもあって、
JKがうまく気持の整理をつけることが出来なかった、
ということもあるのでしょうけど…。
O:まぁ、そこらへんの話はおいといて、音楽の話にしようか。
どうだった?
A:う〜ん……悪くはないんですけど…
…意外性がないというか……
……期待が大きすぎたのかな。
O:あれ。イマイチっぽいね。
僕は結構よかったんだけどな。なかなかいい出来じゃん。
A:いや、悪くは無いんですけどね、なんかあまり刺激を受けないんですよ、
このアルバムからは……。
……ちょっと長くなるかもしれないけどいいですか?
O:どぞどぞ。
A:ジャミロって、トーキン・ラウドのインコグニートやガリアーノ達と一緒に、
90年代のイギリスのムーヴメント、
いわゆる「Acid Jazz」なんてジャンルで括られてると思うんですけど、
そもそも「Acid Jazz」って言葉はトーキン・ラウドの総帥、
ジャイルス・ピーターソンが創った言葉ですよね。
で、日本なんかでは「何かイギリスで新しい音楽が始まった!」なんて
受け止められたかもしれないけど、
これらのミュージシャン達自身は何も新しいことをやっているつもりは無くて、
自分達の好きな昔の音楽を再発見している、という感覚だったと思うんです。
特にジャミロなんて、
「Free Soul」から影響を受けているのが丸わかりですよね。
ベースパターンとか、ホーンの使い方とか。
ディジェリドゥーを使っているのは新しいのかもしれないけど。
評価されたのは、その過去の材料の料理の仕方にあったのじゃないかと。
あとはボーカルのJKのキャラがあまりに「立っている」ってのもあるでしょうね、
あれだけ人気があるのは。
なにしろ、環境問題を訴えながら、
フェラーリが大好きで乗り回したりしてる「漢」ですからね、JKは。
O:そうそう、あれはメチャクチャだよな。
でも確かにキャラが立ってるのは確か。
あのヘンな帽子とかジャージも流行ったもんね。
「ジャミロクワイ」ってバンドじゃなくてJKのことだと思ってるやつも多い。
A:3rdの『Travelling without Moving』があまりにも完成度が高かった……。
「virtual insanity」は世界中で大ヒットしましたよね。
で、ヒットしたせいかどうかわからないけど、
4thから音楽的に創り方を変え始めたと思うんですよ。
単なるFree Soulの引用に終わらないようなダンス・ミュージックを創ろう、と。
O:ほう。
A:僕がジャミロを評価してるのはここからで、
「新しいダンス・ミュージック」を創るといって、
安易に目新しいリズムに逃げなかったところなんですよね。
イギリスなんだから、それこそドラムンベースやらブレイクビーツなどなど、
その気になればそういうビーツを導入することもできたのに。
O:確か『Travelling〜』の最後にドラムンベースの曲入ってなかったっけ?
え〜と…なんだっけ……
A:「Do You Know Where You’re Coming From」ですが、
あれは無視しましょう。
多分JKも後悔してるはずです。
なんであのアルバムは「Spend A Lifetime」で終わらないのか…。
本当に蛇足ですよね。
話を戻すと、ジャミロはあくまでバンド編成で、
そしてファンクネスを大事にしながら、
しかもこれまでになかったようなダンス・ミュージックを模索する。
そこに僕は期待してたんですよね。
ただ、これは簡単なことではない。
事実、4thの『synkronized』は、「canned heat」は突き抜けているけど、
アルバムとしては散漫な印象を受けますよね。
でも、5thの『A Funk Odyssey』を聴いた時は本当に嬉しかった……!
何か「新しいダンス・ミュージック」の可能性を感じたんですよね。
ディジェリドゥーもなくなったし。
「Little L」なんて、コードは呆れるくらいシンプルなのに、
全体として豊かな曲構成ですよね。
ベーシックなリズムパターン(このさりげないハウスの使い方もいい!)に
上を重ねていく、というダンス・ミュージックの構成に忠実でありながら、
バンド演奏ならではのグルーヴが、
足し算でなく掛け算で補強しているというか……。
とうとうジャミロは一皮むけたな、と感じて嬉しくなったんですよ。
O:そうね、『A Funk Odyssey』は僕も好きだなぁ。
でも僕のジャミロのベストは
2ndの『The Return of the Space Cowboy』だけど。
A:「Half The Man」は僕も大好きですけどね。
とにかく、そんな感じで次のアルバムに期待してたんですよ、僕は!
(肝心の『Dynamite』の内容に入らないまま、明日に続く)
- アーティスト: ジャミロクワイ
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- 発売日: 2005/06/15
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