制服 その2

制服 その2

京都のある公立中学で女子生徒の制服にスカート、スラックスさらにキュロットを加えた。これで女子生徒は3種類から選べるようになった。

校長は、

男はズボン、女はスカートという固定観念に疑問を持つのはごく自然。生徒たちが自分たちの判断で案を練り上げ自主性を尊重したかった。

と説明する。

 学校指定の制服にするか、私服を認めるか、制服の変更は各学校の裁量です。生徒と教職員の真摯な論議が必要でしょう。男女平等という考えは、時には固定観念を揺さぶる議論になります。さらに制服には美意識も紛れ込むので面倒です。  

 

新聞の投書欄から。

女子の制服にズボンいいな  

 私はもうすぐ六年生になります。前から思っていたのですが、どうして中学の女子の制服は、スカートなんでしょうか。

 スカートを否定するわけではないけれど、同じ布地、同じ色のズボンもあるといいなと思っています。その日の天候や気分でズボンを選べる日があってもいいのにな。

 ズボンが好きなのは、温かいこともあるけど、まずは活動しやすいからです。そして、スカートのように長さを気にしたり、ソックスの種類で悩んだりしなくてもいいからです。そのほか、部活などで夜遅く帰るとき、もしも変な人に追いかけられても、ダッシュで逃げ切ることができるかもしれないからです。

 私の考えを中学校の先生方に届けるにはどうすればいいのかな、と考えて、たくさんの人たちに聞いてみたくなりました。 

宇都宮市 佐々木あい子  (朝日新聞2001年3月9日)

 

 私は次のような返事を認めてみました。

 「あい子さんの行く中学校の先生方があなたの投書を読んで、女子のズボンを許可してくださるといいですね。でもそうなったら、私からあい子さんに考えてもらいたいことがあります。

 つい1年前のことですが、イギリスの小学生の女子がやはり同じようにズボンでの登校を許可してほしいと学校に頼みました。学校は裁判にでもなって費用と時間がかかっては困ると考え許可しました。ただし、男女平等の精神から、男子生徒のスカートでの登校も許可しました。

 あい子さん、夏の暑い日にはスカートをはいている男子生徒を受け入れることができますか。スカートの長さやソックスを取り替えて楽しむ男子生徒を偏見のない目で見ることができますか。

 これは意地悪で言っているのではありません。誤解されませんように。たくさんの人たちに意見を聞いてみたいというあい子さんの正しい考え方に賛意を表すため、このような考え方もあることを知ってもらいたくて一筆したためました。あなたなら、偏見のない柔軟な考え方のできる大人になれると信じています。」

  

 この話題の締めとして次を熟読したい。

制服とは、ある人を一個の生身の人間として扱うべきでない、あるいはその必要はないとする考え方の表明であり、それを着ることはその考え方を受諾していることである。他人が選んだ服を着るというのは、その人が自分に対して抱いたイメージを受け入れ、そのとおりに振る舞うことにつながるからだ。

(アリソン・リュリー『衣服の記号論文化出版局

 

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衣服の記号論

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