長沢節さん。
名前は聞いたことがありますが、門外漢のわたしには、もはや伝説の人、というくらいしか。
下品な缶ジュース
下品な缶ジュースはセツに持ち込まないでください。
これはファッションイラストレーター長沢節が開いた自由学校「セツ・モードセミナー」のセツ・カフェに貼ってあった張り紙。
(内田静枝編『長沢節 伝説のファッション・イラストレーター』)
長沢節 伝説のファッション・イラストレーター (シリーズらんぷの本)
- 作者: 内田静枝
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2004/04/07
- メディア: 単行本
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立ち止まってよく読むと、次のように解釈がアイマイです。
(1) [下品な] 缶ジュース 缶ジュース自体はよいが、デザインが下品なものは持ち込むことを禁止します
(2) [下品な缶ジュース] 缶ジュースはおしなべて下品であるから、すべて持ち込むことを禁止します。
さて、あなたがセツ・モードの生徒だったら、どちらで解釈しますか。私は、100パーセント (1) だろうと確信します。いくら個性の強いセツ先生でも缶ジュースそのものの持ち込みを禁止したとはとうてい思えないからです。それに、デザインから見て素晴らしいジュース缶もあったに違いないのですから。
セツ先生は、「下品な」缶を持ち込み飲んでいる生徒がいたら、その貼り紙を指さして、「下品な缶ジュースは持ち込むなと書いてあるだろう」と、いたずらっぽく、議論をふっかけたのではないかとも思えます。骨のある生徒が「これのどこがゲヒンなのですか」と青筋たてて迫ってきたら、デザイン論の講義より、実践的なビビッドな授業を実践しよう、と楽しみに待ち構えていたのではないかと、邪推ではなく、本気でそう思います。
(『弱いから、好き』)