下品な缶ジュース ー長沢節、またはセツ・モードセミナーの教え

長沢節さん。

名前は聞いたことがありますが、門外漢のわたしには、もはや伝説の人、というくらいしか。

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下品な缶ジュース

 

下品な缶ジュースはセツに持ち込まないでください。

 

これはファッションイラストレータ長沢節が開いた自由学校「セツ・モードセミナー」のセツ・カフェに貼ってあった張り紙。

内田静枝編『長沢節 伝説のファッション・イラストレーター』)

 

長沢節 伝説のファッション・イラストレーター (シリーズらんぷの本)

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立ち止まってよく読むと、次のように解釈がアイマイです。

 

(1)  [下品な] 缶ジュース  缶ジュース自体はよいが、デザインが下品なものは持ち込むことを禁止します

(2) [下品な缶ジュース] 缶ジュースはおしなべて下品であるから、すべて持ち込むことを禁止します。

 

さて、あなたがセツ・モードの生徒だったら、どちらで解釈しますか。私は、100パーセント (1) だろうと確信します。いくら個性の強いセツ先生でも缶ジュースそのものの持ち込みを禁止したとはとうてい思えないからです。それに、デザインから見て素晴らしいジュース缶もあったに違いないのですから。

セツ先生は、「下品な」缶を持ち込み飲んでいる生徒がいたら、その貼り紙を指さして、「下品な缶ジュースは持ち込むなと書いてあるだろう」と、いたずらっぽく、議論をふっかけたのではないかとも思えます。骨のある生徒が「これのどこがゲヒンなのですか」と青筋たてて迫ってきたら、デザイン論の講義より、実践的なビビッドな授業を実践しよう、と楽しみに待ち構えていたのではないかと、邪推ではなく、本気でそう思います。

 

文庫 大人の女が美しい (草思社文庫)

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(『弱いから、好き』)