今日は言葉遊びを楽しんでください。
ライフ (life)
英語のlifeには戸惑ってしまう。英語では人でも猫でもlife。そして人でも猫にも犬にも一生がある。そう「ミミズだっておけらだってアメンボだって みんなみんな生きているんだ」とやなせたかしはうたった。でも、日本語の「人生」は猫にもおけらにも使えない。人間にしか使えない不自由さがある。代用としては「生涯、一生、生き方、生活」なども考えられるが。
そしてしかし、lifeには if がある。可能性がある。夢がある。
三好達治の「郷愁」を思い出しました。
「郷愁」 三好達治
蝶のやうな私の郷愁!……。蝶はいくつか籬(まがき)を越え、午後の街角に海を見る……。私は壁に海を聴く……。私は本を閉ぢる。私は壁に凭(もた)れる。隣りの部屋で二時が打つ。
「海、遠い海よ!と私は紙にしたためる。――海よ、僕らの使ふ文字では、お前の中に母がゐる。そして母よ、仏蘭西(ふらんす)人の言葉では、あなたの中に海がある。」
「life」の中の「if」には気づきませんでした。ジョイス的ですね。というかこれ、柳瀬尚紀訳の『フィネガンズ・ウェイク』は一応読んだ(つもり)なので、この「響き」は体感しているはず。
そういえば、マイルスのエレクトリック時代には『ライヴ・イビル』という2枚組がありました。中身もタイトルもすばらしい。