「桃尻」といえば橋本治。

橋本治 ー 『桃尻娘』 ー 『徒然草』 ー 『枕草子』 ー 『絵本 徒然草』。

そうか、そんな流れがあったのですね。

 

桃尻

 国語辞典にもでているが、馬に乗る時に「鞍に尻がよく座らないこと」の意。『徒然草』145段に、秦重躬(はだのしげみ)が北面の武士に「落馬の相があるから気を付けなさい」と言った。多くの人が、そんなことはあてにならないと思っていたが、北面の武士は本当に落馬して死んでしまった。それで、人が落馬の相とはどんな相なのか秦重躬にと問うた。

「極めて桃尻なのに、気の荒い馬を好んだので、そう申したのです。私がこれまでに申し間違ったことがありますか」

と答えた。

この桃尻については188段にもあり、説教師になって招かれた時「桃尻にて落ちなんは、心憂(う)かるべしと思ひけり」とある。

 橋本治の小説に『桃尻娘』があるが、未読なのでこの桃尻を下敷きにしているのかどうか知らない。

 

 『徒然草』、『方丈記』と合わせて無性に読みたくなるときがあります。

これが日本人の自然な心の流れなのでしょうか。

ヨーロッパならモンテーニュを、アメリカ人ならソローを読みたくなるようなものかもしれません。

四方田先生は心の慰めにマルクス・アウレリウスの『自省録』を読まれているそうですが、これもよくわかります。

 

方丈記 (光文社古典新訳文庫)

方丈記 (光文社古典新訳文庫)

 
自省録 (岩波文庫)

自省録 (岩波文庫)

 

 橋本治氏のことは褒める人が多いです。

76世代のわたしからすると、バブルの時代を泳いだ「軽チャー文化人」 という印象ですが、その著作を読むと、その軽い文体とは裏腹に、限りなく深い考察の痕跡がうかがえます。『桃尻娘』や『枕草子』があれだけヒットしたのも、この水面下に現れない部分が効いたのではないでしょうか。

 

桃尻娘 (ポプラ文庫)

桃尻娘 (ポプラ文庫)

 
桃尻娘 (講談社文庫)

桃尻娘 (講談社文庫)

 

このカバー、懐かしいなあ。 

 

そして、「春って曙よ!」なこれも素晴らしいのです。

桃尻語訳 枕草子〈上〉 (河出文庫)

桃尻語訳 枕草子〈上〉 (河出文庫)

 
桃尻語訳 枕草子〈下〉 (河出文庫)

桃尻語訳 枕草子〈下〉 (河出文庫)

 

 

で、『絵本 徒然草』。

これは読んでないんです。

 

絵本 徒然草 上 (河出文庫)

絵本 徒然草 上 (河出文庫)

 
絵本 徒然草 下 (河出文庫)

絵本 徒然草 下 (河出文庫)

 

 

今日挙げた本、なんか全部読みたくなってきました。

とりあえず、手元の Kindle とか iPad に入れて、いつでも読めるようにしておこうかと。

 

この本、Kindle で人気あるみたいです。

セールのたびにリストアップされてるような。

すらすら読める徒然草 (講談社文庫)

すらすら読める徒然草 (講談社文庫)