あいまいな解釈を許す形容詞句の位置
養護教諭によるいじめの早期発見件数は16~18年度の間に小学校で年7件から53件へ、中学校で12件から48件へそれぞれ増加。子どものこころのSOSのキャッチにつなげている。(京都新聞2019.12.25)
形容詞句の後に名詞が複数ある場合、どれを修飾するかを明確にした書き方にしないと、曖昧になる。上の例では次の2つの読みを許してしまう。
(1) 養護教諭による「いじめの早期発見」
(2)「養護教諭によるいじめ」の早期発見
読み手のほとんどは文脈から (1) を読み取るが、(2)の読みも可能である。可能であっても、教員が生徒をいじめるなんてあってはならない。が、ありそうな話ではある。しかし、ではこれを読んだすべての人がなぜ (1) で解釈するのか。この答えは文法を超えたところにある。それを確信しているから、新聞記者は曖昧さを回避せずに原稿を書いたのだろう。そして、(2) で解釈する読者が皆無ではないという危険はいぜんとして存在しているのだ。