『蝿の王』、ゴールディング(訳平井正穂)、新潮文庫、1954(一九七五)年



蠅の王 (新潮文庫)

蠅の王 (新潮文庫)

山形浩生公式ホームページ、「最近の噂」(2009年3/9)より。

今月は、「これまで読んだフリをしていただけの本を実際に読む月間」で、ウィリアム・ゴールディング『蠅の王』とオールディス『地球の長い午後』を読む。前者は、無人島に残されたガキどもが、だんだん殺し合いを始める話なんでしょ?(なんかのドキュメンタリーでそう言ってた) 後者は人類衰退後に植物が支配する地球で、アミガサダケが人間に寄生して脳になる話なんでしょ?(吾妻ひでおの漫画で読んで知っていた)。でもそろそろ読んでおくかと思って。


実際に読んでみると、ゴールディングは上のまとめ以上のものはまったくなくて、とてもつまらない。書き方よりテーマ性だけで成立している話で、書き方にあまりすごさが感じられない。主題がわかってしまうともう読む価値はあまりない感じ。高校生くらいが読むとちょうどいいんじゃないかな。もっと早く読めば良かったと、すこし後悔する。でもたぶんこの先ゴールディングのほかの本は読まないだろう。

でも、わたしは山形浩生ほど酷評するつもりはない。
古典的だけど、単純に比喩的な描写とか楽しめた。
(少年たちが屠った豚の頭にたかったハエが象徴的な悪魔=ベルゼブブになるところとか)。
小説を読むのが久しぶりだったせいか、素直に楽しめた。
…でも、わたしもゴールディングの他の作品はあえて読まないかも。
平井正穂の訳はよかった。

蠅の王 (新潮文庫)

蠅の王 (新潮文庫)