『神道入門 日本人にとって神とは何か』、井上順孝、平凡社新書、2006年

ある専門分野への入門書には2種類ある。
「切り口型」と「網羅型」だ。*1
「切り口型」は日常慣れ親しんでいるものの由来や特徴に注目し、
その分析・解説によって専門分野への通路を開くもの。
「網羅型」は文字通りその専門分野の一から十まで細かく説明するもの。
もちろん両者それぞれ長所と短所がある。


「切り口型」は、とりあえず読み物として面白い。
しかし、その専門分野についてはほとんど何もわからない。
最近のベストセラーの入門書はこのパターンが多い。
口の悪い人には「入門書の入門書」なんて呼ばれてるタイプがこれ。


「網羅型」は、これ一冊あれば確かに用は足りる。
『家庭の医学』みたいなもので、
その分野について調べたい時なんか重宝する。
けど、読み物として面白くない…。
著者の学術的な良心がそうさせるんだろうけど、
このタイプは通読がしんどい。


神道入門』は後者のタイプ。
別に右かかったわけじゃなく、最近この方面に興味があって、
というかこれまであまりにも敬遠してきたことを反省して勉強しているのだが、
正直、入門書としてはしんどかった。
新宗教」「吉田神道の由来」など、
断片的には興味深いトピックはたくさんあるのだが、
読み物としていまひとつ。
ついでに書いておくと、
「日本人にとって神とは何か」という副題の答えも明示されない。
まあ、これは当然か。


神道方面には、次の出会いに期待することにする。
いや、でもデータ本としては大いに役に立つと思います。


神道入門 日本人にとって神とは何か (平凡社新書)

神道入門 日本人にとって神とは何か (平凡社新書)

*1:実はこれは入門書に限った話ではなく、すべての解説本に言えること。