『僕は散歩と雑学が好きだった。』 小西康陽のコラム 1993-2008_03

まだ続きます。だって面白いんだもん。


ぼくは散歩と雑学が好きだった。 小西康陽のコラム1993-2008

ぼくは散歩と雑学が好きだった。 小西康陽のコラム1993-2008

「インタビュー嫌い」から。

リエータ

 そもそも自分がクリエーターである、という意識が希薄なので。どちらかと言えば、長いアルバイト生活の中にいるオヤジ、と自分のことを考えています。とくにアレンジの仕事なんかは、ニヤッとするようなヒラメキの部分はほんの少しで、あとは決まりごと通りに譜面の上にオタマジャクシを書きつけていくような地味な作業ですから。

 そんなぼくがオレも何か作ろうか、という気持ちになるのは素晴らしいレコードと出会ったとき。音楽ってこんなコトも出来るのか、」とか、こんな手もあったのか、と思わせてくれる作品と出会ったときに、オレも何か作りたい、という気分になる。その気分を味わいたくて、毎日のように次から次へとレコードを買うわけです。

 そしてもちろん素晴らしい人と出会ったとき。まあ、キレイな人と出会ったとき、が多いかな。むかし深夜に家に帰ってきてたまたまつけたTVでヨーロッパの街を歩く夏木マリさんを観たとき、ああ、ぼくはこの人のレコードを作らなければ、と考えたことを思い出します。こんな話でいいですか。
(マックパワー 2005年11月号)