中原昌也・『子猫が読む乱暴者日記』「あとがき」

作家が創作の苦しみを訴えるのはありがちだけど、もはや芸の域。
そういや、うすた京介は自分の創作活動を「うんこ」だって言ってたなあ。


子猫が読む乱暴者日記 (河出文庫)

子猫が読む乱暴者日記 (河出文庫)

(…)一応ここで正直に自分が書いたものを、自分でどう捉えているのかくらいは伝えた方がいいと思う。

​こういう本を読む人間が可哀想だ。よっぽど、その人は他人からバカにされ続けた人生だったのではないかと思う。無論、僕だって同じように、ずっとバカにされ続けて現在に至っている。どんなにキャリアを重ね、賞を貰っても常に下っ端。どんどん年収は下がる。

絶対に人にバカにされない秘訣だって、一応知ってはいる。それは小説など全く書かないことだ。書いてもいいが、発表はするな。この世の中、自意識過剰なバカしか小説など書かない。その真実を知っていながら、生活の為に小説を書かされるだけに過ぎないのだ。​だから、書けば書くほどバカにされ、収入が下がり、「書かなきゃよかったなあ」なんて思うしかない諸悪の根源が人手に渡るのは、はっきり言ってうれしくも何ともない。もっともっとやるべきことがあるはずだ。(…)