スープを「食べる」。

これ、食事中に広がりそうな話題です。

スープを食べる

 日本では「スープを飲む」というが、英語ではeat を使う。沢木耕太郎さんは

 

隣の口髭をはやした初老の男性が食べているスープがおいしそうに見えた。

 

と書いている。

一号線を北上せよ<ヴェトナム街道編> (講談社文庫)

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「スープを食べる」とはいささか以上に、日本語では、違和感があるが、これはただ単に英語では、スプーン、フォーク、箸(chopsticks)などを使う場合はeatと言うだけのこと。使わなければdrink a soupでよい。

 

なるほど。

この話を聞いた時、わたしは素直になるほどと思いました。

日本語のコロケーションとして、「みそ汁」は「飲む」のか「食べる」のか、あいまいだったので。たいてい「いただく」という形で済ませてきましたが、英語のこのルールでいくと「食べる」だよなあ、と。

少し話は脱線しますが、敬語にはこんな実用的な効用がありますね。

つまり、的確な日本語が見つからないときに、敬語は少し大きめに概念なり行為を包括するので、そういう敬語を使ってうまく乗り切ることができる、ということです。

食事中なら「召し上がる」「いただく」、発話なら「おっしゃる」「申し上げる」としておけば、まず問題ありません。ともすると不便さばかりがあげつらわれる敬語ですが、こういう便利さも話題に乗せるべきではないでしょうか。

閑話休題

 

旅とは無縁の人生を送ってきたわたしには、沢木耕太郎さんは憧れの存在です。

敬遠してきた作家なのですが、最近、まとめて『深夜特急』あたりをドカンと一気読みしようかな、なんて考えています。

そのタイミングは、もちろん3ヶ月毎の東京行です。

 

深夜特急(1?6) 合本版

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