情熱大陸・菊地成孔

とうとうお茶の間に菊地が登場。
放送コードに引っかからないのか、
菊地の不安定な言動を見て、日本全国が不安な気持ちになってしまうのではないか、
などと菊地ファンと話をしていたが、
そこはさすがに情熱大陸、うまく30分に編集していた
(もっとも、下半身露出のためモザイクはかけられてしまったが)。


放送内容はバランスがよかった……のだが、
菊地の多方面の活動を満遍なく拾おうとして、全体的に散漫な印象を受けた。
アメリカの戦争の背後には音楽がある――など、
音楽史と文化を絡めた話は面白かったが、
歌舞伎町に住んでいるのは故郷の町に似ているから、
ということを強調したいのか、
少々安易なフロイディズム的なまとめ方が気になってしまった。


しかし、彼の胡散臭さはよく表されていたと思う。
バンドを指揮する姿はやはり様になっている。


意図していないと思うが、
幼時の映像とともに、最後の菊地のコメント―
―父と母がいなければ僕はいなかったが、
音楽がなければ僕は牢獄か病院にいただろう―
―が語られるときの音楽、前衛的すぎます。
そんなに幼時が苛酷だったのか、と思ってしまうほど。

まあ、これは「ノスタルジックな映像にはノスタルジックな音楽を」という
ステレオタイプに我々がいかに毒されているか、
ということの証拠でもあるのだけど。

ユリイカ2006年4月号 特集=菊地成孔 正装の、あるいは裸の

ユリイカ2006年4月号 特集=菊地成孔 正装の、あるいは裸の