三重の「お母さん」。

お母さん

「ボクはおかあさんのお腹からうまれたんでしょう」   

「そうよ、ケンイチ君も、お隣のりえちゃんもお母さんのお腹からうまれたのよ」

「じゃあ、大きなおすもうさんも、サッカー選手もみんなお母さんのお腹からうまれたのよ」

「すごいな、おかあさんって」

 このジョークも言語学習に有益です。「おかあさん」には3つの意味があります。即ち、 (1) 自分の母親、(2) 普通名詞の母親、(3) 母親の自称 です。上の3つをもう少し個別に細分すると「自分のおかあさん」「他人のお母さん」「総称としてのお母さん」。英語ではこの3つを個別に表現しなければなりません。

次の「先生」も上の3つのうちの2種類が使われています。

みんなは、何か夢を持っていますか。私は先生になることが夢でした。(中略)その子たちに毎日いっていることがあります。それは「変化は進化!」 これ先生の大好きな言葉です。

(京都明徳高校ダンス部顧問 岩倉真紀子 京都新聞2013/7/7)

最初の「先生」は「職業としての先生」、2番目の「先生」は自称つまり「私」の意味です。

冒頭に引いた例では、ケンイチ君は4例とも (1) の「自分の母親」の意味で使っていると解釈するところに、可笑しさが潜んでいます。

もしくはもう一つの解釈として、ケンイチ君は、ボクも、りえちゃんも、大きなおすもうさんも、サッカー選手も、今の姿のままで母親から生まれたのかと質問したとも考えられますが、これは考えすぎでしょう。老婆心ながら。 

 

岩倉先生、検索すると真っ先に「鬼コーチ」という肩書が伴うのはすごいです。

 

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本記事のタイトル、「三重の『お母さん』」は、「さんじゅう」の意味ですが、「みえのおかあさん」とも読めちゃいますね。まあ、それはそれで面白いからいいか。