失礼な乗客へのアテンダントの対応。自分の価値観を客観視するということ。

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わたしは基本的には平和主義者ですし、物事は話し合いで解決したいと思っています。トラブルが起きたら、できるだけ相手の意見を尊重して理解に務め、平和的に和解したい。

しかし、残念なことに世の中には価値観が自分と全く異なる人というのは必ず存在するし、そもそも会話が出ない人、というのも存在します。わたしは、そういう人にまで以上のスタンスを貫く必要はないと考えています。

失礼な人には失礼な対応で構わない。

というか、態度で示さないと、失礼な人はわからないんですよね、失礼な人は。

 

アテンダントの対応 

 50代の白人女性が飛行機内の自分の席まで来ると、隣は黒人男性が座っている。大声でアテンダントを呼んだ。

「どうなさいましたか」

「わからないの? 隣が黒人なのよ。席を替えて頂戴」

「お客様、落ち着いていただけますか。この便はあいにく満席でございますが、空席があるかどうか調べてまいります」 

 

数分後アテンダントは戻ってきた。

 

「お客様、機長に確認したしましたところ、エコノミークラスはやはり満席ございます。ただ、ファーストクラスには空席がございます」 

 

これを聞いて、女性客が何か言おうとしたが、それを遮って続けた。

 

「ご存知とは存じますが、エコノミークラスからファーストクラスへの変更は通常は致しておりません。でも、或るお客様が、隣の席に不愉快なお客様がいて、長い空の旅を過ごさなければならないのは、当社といたしましても恥ずべき対応だと考えております」

 

とそこまで言うと、隣の黒人男性に向き直り、話しかけた。

 

「ということで、お客様、差し支えなければお荷物をまとめていただけませんでしょうか。ファーストクラスへご案内いたします」

 ことの成り行きを見守っていた周りの乗客たちが一斉に歓声をあげた。白人女性客は、茫然とアテンダントを見つめるだけであった。スタンディングオベーションをする乗客もいた。      

 

 

これ、よく耳にする話です。

ほぼ同じ話でこんなのもあるし。

 

 

 

「スカッとジャパン」ですね、簡単に言ってしまうと。

 

 

この番組が人気なのは、やはり日常の人間関係でイライラを感じているからだと思います。わたしの小4の娘も毎週楽しみにしているのには驚きました。

ただ、こういう話を聞くにたびに思うのは、わたし自身がこの「失礼な白人女性」になっていないか、ということです。もしかしたら、この白人女性客は悪意があってこのような行動に出たのではないかもしれません。礼儀作法に厳格な家庭に育ち、幼い頃から「白人と黒人は、公共の乗り物で同じクラスの席に座ってはいけない」と教えられて育ったのかもしれません。そうだとするなら、彼女は正しいと教えられたルールに従っただけであり、その責任は親に帰するべきなのかもしれません。

同様に、わたしが信じている価値観も、違う環境で育った人の目には極めて偏ったものに映るかもしれません。自分の主義・価値観をいったん客観視する姿勢は失いたくないと思います。

わたしが敬愛する人々は、つねに自分の立場の客観化を失わない人です。

映画では四方田犬彦先生、音楽では菊地成孔さんとか。

自分の専門、興味ある分野について、貪欲に広範に渉猟する姿勢は、上述の客観化、主観の相対化の意志の現れだと考えています。

これは40年間変わらないなあ。

 

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