受身形

受動態は便利な表現です。

法律系などの産業系の翻訳をやったとき、そのありがたさを何度も実感しました。

受身形

 無生物が主語となったものが、受身の形で述べられることは日本語では近世まではなかったという。

御国譲りの節会(せちえ)おこなはれて、剣璽(けんじ)、 内待所(ないしどころ)渡し奉らるるほどこそ、限りなう心細けれ。

(『徒然草 第二十七段』)

 

この部分、松尾聡解釈では

「御譲位の式を挙行なさって草薙の剣などを新帝のほうにお移し申し上げなさる時の有様こそ、この上なく心心細い。」

となっている。

 

 この「おこなはれて」の「れ」は尊敬を表すので、「御譲位の式を挙行なさって」と解釈するのだそうだ。