「あてない」? 五木ひろし『よこはま・たそがれ』から。

 

あてない

 五木ひろし歌『よこはま・たそがれ』の歌詞に

 

あてない 恋歌 流しのギター

 

がある。「あてない、は変じゃない。あてのない、とか」と女ともだちに話すと、「わざとでしょう。美は乱調にありっていうから。」の一言。なるほど、山口洋子ほどの作詞家・直木賞作家が「あてない」の代わりくらいいくつも思いついただろうに、あえて1箇所だけ乱しておいた。きっと、私のような融通の聞かない石頭を手玉に取って遊ぶ確信犯なのでしょう。と、念のため調べてみると、岩波国語辞典に

 

当て無し  めあて・目的がないこと。「あてなしに歩く」。

 

とありました。でも「あてない」ふつうは「あてのない」だろう。

 

 そういえば、このヒット曲 『よこはま・たそがれ』 はアディ・アンドレというハンガリー詩人の『ひとり海辺で』からの盗作だと花田紀凱氏が週刊誌で言っていた。興味ある方は『ひとり海辺で』は「世界の名詩集12 『世界恋愛集』東欧篇」にあるというから比べてみては。

 

「あてない」はヘンですよね。

一応、西洋の学問を学んだ人間からすると、あてない? ギリシアの「アテナイ」のこと? となります。

 

まあ、J-POPでよくやるのは、歌詞では正しくクレジットしておいて、
メロディやリズムの関係で、歌うときは崩して読む方法。
平井堅はヒット曲「瞳を閉じて」で、
歌詞では「朝目覚める度に」として、歌うときは「朝めさめるたび」と歌ったりしてますからね。

桑田佳祐なんてその確信犯なんで、そのハシリかなあ、とも思いますが、この曲に関しては盗作疑惑もあるし、山口洋子……う~ん、という感じですね。

 

世界恋愛詩集 (1968年) (世界の名詩集〈12〉)

世界恋愛詩集 (1968年) (世界の名詩集〈12〉)