『遺伝子の川』、リチャード・ドーキンス、草思社、一九九五

遺伝子の川 (サイエンス・マスターズ)

遺伝子の川 (サイエンス・マスターズ)

原題、"The River Out of Eden"がカッコいい。

ドーキンス」の「遺伝子」の本なので、
「利己的遺伝子(selfish gene)」の話かと思ったが、
むしろ「ダーウィン主義」的な生物進化論を一般向けに説明した本だ。
利己的遺伝子については、『利己的遺伝子』という
ストレートなタイトルの著作があることに読み始めてから気づく。


フォトリーディングで読んだ本なので、その感想、
というか記録も記しておこう。


確かに、「スピードを上げる」速読法より内容が残る気がする。
読んでて思ったのは、
フォトリーディングのスピードは、現在の自分の能力に制限される」ということ。
速読、というか情報を処理してまとめあげているときは、
脳が通常の何倍(何十倍?)もの速度で働いているわけだけど、
もともとの脳のCPUというか、論理展開の理解力などが備わっていないと、
文字面だけ眺めて空回りしてしまっている気がする。
情報量が少なかったり、平易な内容を読むときは本当に早く読める。
ページをめくる手が追いつかないくらい。


あと、フォトリーディングの肝は、
読む前の「予習(preview)」と読んだ後の「復習(postview)」にあるように思う。
これは、自分に関係のあるところを意識的にピックアップする作業であり、
この作業で引っかかってこなかったところは無視しても構わない、という方針だ。
まあ、これはその通り。
実際に必死になって精読しても、記憶に残っているのはほんの2つか3つ、
なんてことはよくあることだから、これも同意できるかな。


とりあえず、この方法を鍛えれば本棚整理のスピードを上げるのに役立つ感触がある。
意識的にトレーニングしてみることにする。


目次だけ抜き書き。

1 ディジタル・リバー
2 全アフリカとその子孫
3 密かに改良をなせ
4 神の効用関数
5 自己複製爆弾

デネットは、『ダーウィンの危険の思想』で、
遺伝に関して「リバースエンジニアリング」と「効用関数」という
別の分野の用語を用いて進化を説明しているらしい。なるほど、うまいな。


「効用関数(Utility Function)」とは、
エンジニアではなく経済学者の言葉で、「(ある要素の)最大の効果が発揮される状態」のこと。
4章の題にもなってるけど、グールドに言わせると、これは
「神の効用関数 = 生命の効用関数 = DNAの生存」
ということらしい。
「改良/改悪」の基準もこれになるわけだ。


5の「爆弾」が少しわかりにくいけど、
概念としてはexplosionの訳語だと思う。
つまり、爆発することによって遠くへと散らばっていくイメージ。
まさに、evolveとかEntwicklungという語が元々もつイメージ。


目次を見れば内容を思い出せるから、
マインドマップは書かなくてもいいや。