『ねじの回転』、ヘンリー・ジェイムズ

ねじの回転 (新潮文庫)

ねじの回転 (新潮文庫)

本棚の整理をしていて再読した本。


タイトルの由来についてメモしておく。

「ぼくは、まったく賛成なんだが、あの例のグリフィン君の怪談では、
――いや、何の怪談にしろ――幽霊が、初めていたいけな子供に出たということが、
特に人の心を打つというご意見でしたな。ただ、子供に幽霊がでるという面白い話は、ぼくには、あれが初めてじゃないんです。
もし、子供ということが、ねじの回転を一段と利かせているというのなら、では、ふたりの子供では、どんなもんでしょうーー?」
「もちろん、それじゃ」と、誰かがひょうきんな声を出した。
「ふた回転の効果になるぜ!ついでに一つ、その話を拝聴したいもんですな。」

わたしはただ、"自然"を信頼し、重要視していかなければならない。
いま、わたしの恐ろしい試練はもちろん、不自然な、不愉快な方向に推し進められてはいるが、
しかし結局、ただ一回転すれば普通の人間の美徳に変わるのだから、善い方向の状態になるネジの一回転を、私はあくまで追求していくべきだ。
とはいえ、自らあらゆる自然性を一身に具備しようとする試みほど、困難な芸当はないであろう。
第一、自然でありながら、どうして例の事件について、ほんの一言も喋らずにいられようか? 
その反対に、もしあの問題を口にすれば、また新たに、わたしは、五里霧中の世界に飛び込むことになるのではあるまいか?

本文では、「回転」に「ひねり」のルビあり。
学生の頃(下手すると高校生か?)に読んだはずだけど、まるで忘れてました。
大学生になってからは、
ジェイムズといえばヘンリーじゃなくてウィリアムを連想する毎日だったからか。
うーん、こんな話だったかな。
松岡正剛千夜一夜のどこかに書いてたけど、
この小説は、プロットそれ自体を読むよりも、
19世紀という背景を意識して解釈しないと面白くないんじゃないかな。


関連してもう一冊。


デイジー・ミラー (新潮文庫)

デイジー・ミラー (新潮文庫)


おそらく『ねじの回転』と一緒に買った。
これもそのときに読んだはずだが、まったくストーリーが思い出せなかった。