『時をかける少女』、監督細田守、製作マッドハウス

文句なしの名作。
何度観てもそう思う。


ゴールドベルク変奏曲の使われ方、伏線の張り方や小物の使い方、
友情と淡い恋心、映像表現など、述べたいことはたくさんあるが、
この作品に関してはあまり説明はしたくない。


大事なことは、映画のフィルムやセル、データの中にあるのではない。
その作品を観たとき、ぼくの中で起きたことが
ぼくにとって真に意味があることであり、その体験は何にも換えられない。
「このアニメを観て、ぼくは不可逆的な体験をした」。
それがすべてだ。


「青春映画」という手垢の付いた言葉で表現したくはないが
(という書き出しも手垢にまみれているが)、
「理想的な青春映画」とはこのことだ。


ぼくはこの作品をこれから繰り返し見続けるだろう。
しかし、なぜかDVDを買う気にはなれないでいる。
経験上、DVDを買ってしまうと、「いつでも手元にある」と安心して(?)、
あまり観ないからだろうか。
確かに、観るたびに金を払いたくなる作品である。