- 出版社/メーカー: アスミック・エース
- 発売日: 2004/08/06
- メディア: DVD
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この映画について、言葉を並べる必要があるのだろうか?
「限りなく繊細で、奇跡的なくらいの美しさに満ちたフィルム」。
もう、これだけで充分だ。
「いい映画」については、ぼくも一応いくつか基準を持っていて、
そのうちの一つに「魂が揺さぶられるくらい、強い感情を喚起すること」
というのがある。
ここでいう感情とは、悲しみでも怒りでも喜びでもなんでも構わない。
とにかく、魂が感応してなんらかの感情に押し潰されそうになる状況。
『ジョゼと虎と魚たち』を観たいま、ぼくはまさにそんな状況にある。
障害者への視線、若い恋、優しさと哀れみ、自尊心と優越感…
繊細にしか扱えないテーマが、繊細な手付きで描かれていく。
監督の犬童一心、素晴らしい才能です。
声というか喋り方が押井守に似てるのがちょっと気になるけど。
もちろん、俳優も最高。
『大阪物語』以来ずっとファンだった池脇千鶴、変わらず素晴らしい。
やっぱりキレイだし、演技も達者だ。
彼女には、もっともっといい役に恵まれてどんどん成長して欲しいな。
妻夫木聡もいい。
「悪い奴じゃないけど、適当に真面目で適当に軽薄な役」
をやらせるとピッタリだね。
『約三十の嘘』での役も良かった。
上野樹里は、大事な役だけど辛い役…。
『亀は意外と速く泳ぐ』の印象が強かったからちょっと違和感あったけど、
難しい役を無難にこなしている。
それにしても、田辺聖子の同名の原作も
これほど素晴らしい話なのだろうか。
犬童一心の才能を見極めるために、原作を読んでみたい気がした。
あと、DVD特典のオーディオコメンタリー、最高です。
池脇千鶴は声がかわいいので聞いてるだけで心地いいし、
妻夫木聡も好印象。
犬童一心の演出の判断基準がわかって面白いしね。
それから、なんといってもくるりの「ハイウェイ」、最高です。
ハマリすぎです。
このフィルムを観て、くるりを聴いてみる気になった。
世間的には何を今更、という感じだろうけど。
とにかく、文句のつけるところがないフィルム。
評価されてるものは、やはりそれだけの理由があるものなのだ。
犬童一心、これから新作を楽しみにさせていただきます。
まずは『メゾン・ド・ヒミコ』から!