『国府宮はだか祭り』、サイゾー (2006年3月)

面白い記事があったので引いておく。

旧暦1月31日(今年は2がつ10日)に、
愛知県稲沢市国府宮(こうのみや)神社で行われる
国府宮はだか祭り」は「日本三大奇祭」のひとつと呼ばれている。


この祭りでは、祭りの最中に突然素っ裸で全身の毛をツルツルに剃った
「神男(しんおとこ)」という奇怪な男が登場する。
そして、このひとりの神男めがけて、
ふんどし一丁の数万人にも及ぶ「裸男」たちが殺到する。
そのわけは?


それは、この神男に触れると、
自分のあらゆる災厄が落とされると考えられているからだ。
神男は、祭りの前にくじ引きで選ばれる。
手順としては、まず全身の毛をツルツルに剃り、
三日三晩神社の中で禊を行う。
そして祭りの日、神男は群集の中に突然現れる。
それに気づいた裸男たちが、
なんとか神男に触って厄を落とそうと殺到する。
裸男は何万人もいるからこの殺到は命がけだ。
実際、数年前には群集におしつぶされて
数人の裸男が死んだこともあった。


もちろん、神男もただではすまない。
神様だというのに裸男たちに小突かれ、殴られ、
神社のイ難追殿(なおいでん)に引きずり込まれるまでには、
半死半生、血だらけ傷だらけになり、
時には意識を失っていることすらある。


その後、神男はありとあらゆる災厄が込められた
「土餅」を背負わされ、境内から追放される。
貧乏神や疫病神がいるように、
日本の「神」は必ずしも正しく美しい存在ではないのだ。
(「奇祭をたずねて三十歩」、杉岡幸徳

まとめ方は少々取ってつけたようだが、この祭りは実に興味深い。
日本における「神」をめぐる視点は両義的なものだと思うからだ。
このテーマは、ぼくがこれまであまり考えてこなかったもので、
最近ぽつぽつと関連の本を読み始めている。