この清々しさは、いったいどこからくるのだろう。
これがサムライチャンプルー、全26話を観終わった素直な感想。
完結したのは随分前だが、
そのとき書いておくのを忘れていたのでここに記しておく。
ナベシンこと渡辺信一郎のつくる作品を貫く思想は、
「人間は皆一人だ。だが、それでいい」
というもの。
これはつまり、
孤独であることは自立に必須な条件なのであり、
自立があって初めて人と人は対等に付き合える
ということだ。
この「孤独/自立」「自立/連帯」をめぐる葛藤が
ナベシン作品を貫く思想といえるだろう。
で、話としてはハードボイルドというか、
浪花節な話が展開されるわけだが、
その演出はよくいえば過去文化への引用の集積、
平たくいえばどこかでみたような演出の寄せ集めで、
強烈なオリジナリティは感じられない。
だけど、これが退屈かというと全然そんなことはないんだな。
むしろよくできたエンターテイメントとして、
安心して楽しむことができる。
『カウボーイビバップ』なんて、
毎話なんらかの映画の引用といってもいい。
もっとも、『サムライチャンプルー』は随所で前衛的な演出がしてあって、
それはそれでまた楽しいんだけど。
*1
音楽もいい。
観終わってから、シャカゾンビを聴き始めたけど、
期待を裏切られず、面白かった。
あと、ジンの師匠、真里谷円四郎の声が
井上真樹夫というのもいいキャスティングなんだな。
というのも、井上真樹夫は『ルパン3世』の石川五右ェ門の声。
このキャスティングは、『ビバップ』との類似点を指摘されたりもした
『ルパン』への目配せと敬意のあらわれ…
…というのはさすがに深読みかな。
いずれまた、この映画は観直すだろう。
今日は、とりあえず完結を見届けたことを記しておきたい。
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*1:ちなみに、これはBGMとして使われているヒップホップという音楽が本質的に前衛的な音楽であることに由来していると思う。『ビバップ』と『サムライチャンプルー』の違いは、管野ようことツッチーの違いともいえると思う。