『けだものと私』、四方田犬彦、淡交社、

四方田犬彦が「機嫌のいいときに書いた」ものを集めた短いエッセイ集。
雑誌『SPA!』に連載していたものが中心になっている。


勝ち組・負け組」のそもそもの語源や、
「日本のシンドラー杉原千畝の話、
そして、以前このブログでも書いた「牛の首」という怪談に、
岡本かの子の「金魚繚乱」……
…あらすじだけ聞いても、そそられる話ばかり。
四方田氏には実に多くの著作があって
映画史とガッツリ組み合う著作も大好きだが、
あらゆる文化を渉猟する、
本書のようなエッセイにもぼくは同じくらい惹かれてしまう。


そうそう、『2001年宇宙の旅』を観て、
まったく意味が分からなかったから合計3回観て、
その感想を原稿用紙に書いてある雑誌に送ったら、
なぜか名前が「丈彦」でなく「犬彦」になっており、
それが現在の筆名の由来であることも本書にあった。


で、四方田氏の『アイズ・ワイド・シャット』評。

なんとも寒々とした情けない作品で、
これが遺作だとは思いたくないなあという感想をもった。

……う〜ん、やっぱりそうなのかな。
実は、ぼくは嫌いじゃないんだけどね。
特にほめるつもりもないんだけど。

あと、『ニュー・シネマ・パラダイス』の100回通う兵士の挿話は、
三島由紀夫の「綾の鼓」にそっくりだ!


けだものと私

けだものと私