まるまる一冊、主人公のヒロインとのセックスが描かれる「特別編」。
朝日新聞の書評で知り、一度読んでみたかった漫画だ。
といっても、別にエロが見たいわけではなかった*1。
ストイックな本格格闘漫画で知られる『グラップラー刃牙』で
セックスがどのように描かれるのか興味があったからだ。
作者の言葉では、
要は愛ですよね。
人間が何か行動するにあたって、
性欲ってでっかいって俺思ってんだ。
でも俺が描きたかったのは、性欲の向こう側。
性欲ってものがなくなって、
そこにあたかも結晶のように残るもの。
それが愛だろうということ。
(Quick Japan vol.44収録「板垣恵介ロング・インタビュー」より)
とある。
「性欲」と「愛」というテーマは、
明治時代に「愛」の概念を輸入した日本の近代文学のテーマであり、
今でも内向的な文学少年達を悩ませる問題だろう。
このテーマを板垣恵介がどのように消化するのか読みたかったのだ。
もっとも、一巻丸ごと主人公のセックスを描くというのは
板垣恵介が初めての試みではない。
この『バキ特別編』の前にも、江川達也が繰り返し描いている。
『BE FREE!』、『東京大学物語』、『GOLDEN BOY』*2…
…さすがに『まじかる! タルるーとくん』にはなかったが、
どれも作者の並々ならぬ熱意が込められている。
では、結局『バキ』はどうだったのか?
似てる!
闘いと……セックスがッッ
格闘(たたかい)とセックスはッッ
そっくりだ!!闘争でダメージを与えることと
セックスで快感を与えることとは
表裏一体!闘いとは
敵(あいて)のしてほしくないこと――
嫌がることを――――実行する!まるで逆!!!
セックスとは
セックスとは?!
相手のして欲しいことを
して欲しいタイミングで
快感(ダメージ)を
与える!!!
……言葉だけ抜き出すと、ちょっとアレだが、
これがあの独特のタッチで描かれるとなかなか迫力がある。
でも、まあ、印象としては「ふ〜ん」という程度か。
格闘技に興味ないし、そういう見方もあるのかな、と思ったくらい。
これも売ろう。
- 作者: 板垣恵介
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*1:……まあ、エロにも興味がないわけではなかったが。
*2:『GOLDEN BOY』は途中で打ち切りになってしまったが。