パティ・オースティン(2)「CTI時代のPatti Austin」 

今日はパティ・オースティンの音楽について書いておこう。
CTI時代の彼女のアルバムはどれも繊細で、すべて一聴の価値がある。
その理由はバンドメンバーにある。
書き出してみよう。

『END OF A RAINBOW』(1976年)
Patti Austin (vo.) Barry Miles (syn.)
Richard Tee (key.)    Eric Gale (g.)
Will Lee (b.) Steve Gadd (ds.)
Ralph MacDonald (per.)
David Matthews(arr.) Creed Taylor (pro.)
Rudy Van Gelder(eng.)

『HAVANA CANDY』 (1977年)
Patti Austin (vo.) Dave Grusin(key.)
Eric Gale(g.) Steve Khan(g.)
Hugh McCracken(g.) Will Lee(b.)
Anthony Jackson(b.) Steve Jordan(ds.)

『LIVE AT THE BOTTOM LINE』(1978年)
Patti Austin(vo.) Leon Pendarvis,Jr.(key.)
David Spinozza(g.) Michael Brecker(ts.)
Pat Rebillot(key.) Will Lee(b.)
Charles Collins(ds.) Errol Bennett(per.)


誰でも子供の頃、夢の組み合わせというのを考えたことがあるだろう。
それは野球チームかもしれないし、格闘技の組み合わせかもしれない。
上の3枚のメンバー、特にスタジオの2枚は、
「夢の」「1970年代のN.Y.スタジオ・ミュージシャンで
歌モノのバックバンド」だ。
あと、クレジットはライブ盤しかないけど、
マイケルはこの3枚全部吹いてる。


メンバーがこれなんだから、悪い音楽になりようがないんだけど、
これが予想以上にいい。
このメンバーだと、
「グルーヴィで演奏も上手くてソロもカッコいいんだけど、
 どれも似たような音楽」になりがちなのだが、
この3枚は違う。


メンバー同士探り合っているのか、
パティ・オースティンのバックのクインシー・ジョーンズにビビッてるのか、
非常に抑制された演奏が展開されている。
抑制は「萎縮的」でなく「繊細に」作用し、これが素晴らしい。
これだけの技術をもったミュージシャンが
繊細さを追及した音楽がこの3枚だ。
N.Y.サウンズの連中には、
このような音楽は演奏できないとぼくは勝手に思い込んでいた。
だが、考えてみれば、
彼らこそこのような音楽を演奏するのに最も適しているのかもしれない。
ぼくの思い込みをひっくり返してくれた嬉しい3枚。


あと、マイケルの歌伴のソロも絶好調。
特にライブ盤のマイケルの歌伴は屈指のものだ。
それも当たり前のことで、
1978年といえば、世紀の名盤『Heavy Metal Be-Bop』の年。
クスリがキマリきっていた頃だもんね。

エンド・オブ・ア・レインボー

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ハバナ・キャンディ

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ライブ・アット・ザ・ボトム・ライン

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