『The Olatunji Concert: The Last Live Recording』、John Coltrane、2001年

1967年にこんな演奏があったことを知ったのは2003年のこと。
驚いた。
レコードも罪深いなあ。
ジョン・コルトレーンクインテットがこんなサウンドだったなんて
『惑星空間』聴いてもメディテーション聴いても
ビレッジバンガードアゲイン聴いてもクルセママ聴いても
スェーデンの私家盤聴いても僕には考えも及びませんでした素ん晴らしい。

雑誌「STUDIO VOICE ポスト・ジャズのサウンド・テクスチュア」
(2005, May, vol.353)で、「渋さ知らズ」の不破大輔がこう褒めており、
最近、偶然に中古店で出会ったので購入。
でも……ぼくにはやっぱりわからないや、この時代のコルトレーンは。
もはやマッコイもエルヴィンもいなくって、ピアノはアリス・コルトレーン
コルトレーンは1967年に死ぬわけで、これは最晩年の演奏だね、
タイトルには「the last live recording」とあるし。

この曲でも取り上げている”My Favorite Things”について、
中山康樹がうまくまとめている。

思うに、つまるところコルトレーンにとってこの曲は、自分がいかに変化し、
どれだけ成長したかということを自分ではかるための
基準のようなものではなかったか。
というのもコルトレーンは不器用なミュージシャンであり、
マイルスやキースのように客観的に音楽と自分自身の距離をはかることが
出来ないタイプの人間だったように映る。
したがってコルトレーンにわかっていたのは、
なんだか自分が、音楽がどんどん変わっていくなあという、
極めてあやふやな感じだけだったと想像する。
そこには変化に対する明確な意志というものが、まるでなかった。
ただなにかに衝き動かされている
自分の不安定な姿しかみることができなかった。
コルトレーンが”My Favorite Things”にこだわりつづけた理由は、
そこにある。
つまりコルトレーンはこの曲を演奏することによって自分がどう変化し、
いかに進歩したかを肉体で理解することができたのではないか。
(『ジャズ名盤を聴け!』、双葉文庫より。*1


不破大輔はこの音源のどこを聴いて褒めているのだろう? 
そしてそれはどのように渋さの音楽と関係しているのだろう。
純粋にそれが知りたい。         


Olatunji Concert: The Last Live Recording

Olatunji Concert: The Last Live Recording

    
ジャズ名盤を聴け! (双葉文庫)

ジャズ名盤を聴け! (双葉文庫)

*1:この本、名著です。