『NO!! WAR』、野田努・三田格・水越真紀・吉住唯・工藤キキ編、河出書房新社、二〇〇三年


野田努の本が読んでみたくて、偶然インターネットの古本サイトで出会った本。
インタビュー、エッセイ、対談など非常にゴッタ煮の本である。
菊地成孔も対談で参加していることは購入してから知った。


一言でいえば、アメリカのイラクへの進軍について、
日本を中心とするクラブ・DJカルチャー周辺のミュージシャン達による反戦の本である。
反戦文化」とでもいうべき系譜や、
「クリミナル・ジャスティス法案(CJA。クラブミュージックのような反復系の音楽と集会の自由を規制するイギリスの法案。「D*NOTE」というクラブジャズバンドの、同名のアルバムもある)」などの現在の動向を知ることが出来たのは収穫だが、
端的にいって、この本にメッセージを寄せたミュージシャン達の浅い発言にはゲンナリしてしまった。


その中で、

結局、地方を真剣に考えることから出発するしかないのであり、音楽家は音楽で真摯に活動しなければならない

と述べる、「くるり」の岸田繁のメッセージは説得力があった。

あとは、「戦争のさなかにバラエティ番組を観て楽しめる人」に象徴されるような「潜在的なマッチョ」には、どうしようもない「諦念」で対抗するしかないと語る、こだま和文にも頷ける所があった。

期待していたキップ・ハンラハンは予想通りの発言。
派手さはなく、淡々と現状分析を述べる姿勢は、彼の敬愛するチョムスキーにならったものか。
菊地はいつも通り。

マッシヴ・アタックやレディオ・ヘッドがそんなに政治的なバンドであるとは知らなかった。
また、「ブリッツ・アウォードで審査員にマシンガンをぶっ放し」たり、
「チャートで1位を記録したと思ったら稼いだ金を焼き払って」しまったという、
THE KLF」というバンドを聴いてみたい。
レイジ以上に政治的なバンドがあるものだ。

他には、

日本で一番売れる音楽はパンクだが、しかしそのメッセージはセックス・ピストルズとは正反対で、自分の応援歌のようなひたすらポジティヴなもの

という指摘は面白かった。
確かに、KEMURIにもPMA(Positive Mental Attitude)なんて曲がある。

勉強になったのは、巻末の本・DISC・映画案内だ。
これは以後重宝しそうである。

次こそ野田努の『ブラック・マシン・ミュージック』を読みたい。  

NO!!WAR

NO!!WAR