ついに読了。
相原コージから四方田犬彦まで、様々な場面で名前は聞いていたが、
初めから最後まで読み通したのは初めてである。
江戸時代の身分差別をベースに階級闘争を描いた、極めて左翼的な政治的イデオロギーの強い漫画であり、描かれた当時の時代状況が色濃く現れているが、そこを古臭く感じることは無く、むしろ
そこにこそこの漫画の魅力が存在する。
それは、ひとえに白土三平の画力と、いつの時代でも不変の権力に理不尽に蹂躙される人々の生が描かれていることによるものであろう。
胸を熱くさせるマンガである。
作者の白土三平は、本名が岡本登であり、
プロレタリアート画家の岡本唐貴の長男である。
その思想は父親から受け継いだのだろう。
とりあえず読了はしたが、今の感想としては、話の筋を追うのに必死で、
物語に翻弄されてしまったというのが正直なところである。
後でもう一度冷静に読み返したい。
その際には、四方田犬彦の『白土三平論』をおきながら…。
しかし、実はこれは三部作の第一部であるという。
確かに、物語の主人公であるはずのカムイは途中から後景に退き、
最終数巻ではほとんど姿を現さない。
長い付き合いになりそうである。
- 作者: 白土三平
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 1995/07/01
- メディア: 文庫
- クリック: 5回
- この商品を含むブログ (3件) を見る