『監督不行届』、安野モヨコ、祥伝社、2005年

新世紀エヴァンゲリオン』などの、監督・庵野秀明
ハッピーマニア』のマンガ家・安野モヨコの結婚生活マンガ。
ヒットした『ダーリンは外国人』の宣伝文句が
「外国人の彼と結婚したらどーなるの?ルポ」だったが、
それを真似るならば「オタクの彼と結婚したらどーなるの?ルポ」である。

だが、『ダーリン…』が一般的な国際結婚の参考にならなかったように、
このマンガも一般性を持つことはないだろう。


その理由は二つ。
一つは庵野秀明が「オタク四天王」の内の一人と呼ばれるほどの
重度のオタクであるからであり(後の三人は誰なのか?)、
もう一つは安野モヨコ自身もまたオタクだからである。


この「オタ夫婦」の話は、声が出てしまうほど面白い。
そのネタがあまりにもコアなため、巻末に用語解説が付けられている。

アニメなどをネタにして楽しむのがオタクだが、
最近はこのオタク自体をネタにして楽しむ土壌が出来ているように思える。
げんしけん』も恐ろしく面白いし、広く支持を得ているようだ。
それほどまでヲタク文化は浸透しているということか。


・「オタクは、『ガーン』などの擬音語を口に出す」といった、

オタクの特徴を一言で定義づける目からうろこが落ちる描写や、
・「ドライブ時にはアニソンをi-podにいっぱい詰め込んで二人で熱唱する」
などの日常など、小ネタが盛り沢山だ。


個人的に懐かしかったのは、
「マシュウ!」「そうさのう。」という『赤毛のアン』ネタ。


しかし、こういうネタが解説無しで分かってしまうということは、
もしかして僕もやはり……となるが、怖いのでその先は考えないことにする。


このマンガがあまりに面白かったので、
安野モヨコの他の本も読んでみようと思い、
ハッピーマニア』『カメレオンアーミー』を少し読んでみたが、
これは僕の好みではなかった。


『監督不行届』の続編、いつか描いてくれないだろうか。


オタクにも人権を!

監督不行届 (Feelコミックス)

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