『となりの車線はなぜスイスイ進むのか?』トム・ヴァンダービルト

となりの車線はなぜスイスイ進むのか?――交通の科学

となりの車線はなぜスイスイ進むのか?――交通の科学

山形浩生『経済のトリセツ』で取り上げられていたので職場近くの公立図書館で借りた。

なんでも、山形浩生Amazonレビューがすべて取り消されてしまったので、
過去のAmazonレビューをサルベージしているらしい。

読み物として楽しい本。
交通事故に遭遇する確率から考えると、
スーパーボウルの日曜日にビールを飲んでいるフレッドという名の離婚した医者とモンタナの田舎でピックアップ・トラックに乗る」というシチュエーションは最悪らしい。

オススメの言葉にあるように、決定的な答えがあるわけではないが、
「人は理由がわかると苛立ちが少なくなる」のである。
次は『プルーストイカ』を読もう。


交通工学の本であるとともに、人間心理の事例集でもある楽しい本。 2008/12/19

 おもしろい! 渋滞はなぜいらいらするのか、車に乗るとなぜ人格が(悪い方に)変わるのか。人を型にはめて判断してはいけないと普段は言っている人が、車については妙にドグマチックになるのはなぜか、道を増やしても交通渋滞が減らない理由、カーナビのジレンマ(いちばんいいルートをカーナビが選ぶと、そこに車が集中してかえって遅くなる等々)、車線合流はどうするのがいいのか。どれも車でありがちな話を、心理学や交通研究から軽妙に説明した非常に楽しい一冊。

 最近、行動経済学系の本がたくさん出ているけれど、本書はそれらの基礎にある知見を経済行動以外にもあてはめてみせた(部分もある)、ちょっと目先の変わったしろもの。本書で述べられている、人々のリスク判断とその歪みなどは、他の分野でも大きく効いてくるもの。本書を読むことで、行動経済学的な話も理解しやすくなり、視野も広がる。もちろんどれも決定的な答えがあるわけではないし、渋滞からぬけられるようになるわけでもないけれど、でも人は理由がわかると苛立ちが少なくなるとは本書でも指摘されていること。なぜ自分が渋滞で頭に来るかわかれば、多少は心も穏やかになるかもしれませんぞ。