BLUE GIANT (10), supreme (1)

新刊を待ってたマンガ。
読後の感想は、楽しめた反面、ガッカリ感も大きかった…。


ガッカリだったのは(10)の方。
これ、自分だけかな? と思ったら、amazonのレビューで皆同じことを感じているみたい。

そうなんだよ、なんか唐突なんだよ。
『岳』の世界は生と死が隣り合わせにある世界だから違和感はなかったけど、
今回のは何か違和感、というか腹立たしさがあります。

しかし、この理不尽さこそが日常における不幸の本質とも言えるわけで、
石塚氏はそれを表現したかったのだ、と言われればそれは成功しているのかもしれない。

でも、これは読者が読みたかったものじゃないと思う。

「この巻だけは買わない」という人もいて、その気持はよくわかるなあ。
ただ、これだけ読者の気持ちを揺さぶる力がある、ということは、
やっぱりこのマンガ自体に強い力があるということなのだろう。


一方で、ヨーロッパ編はこれから楽しみだ。
クリスのキャラもいいなあ。

(10)の最後の師匠の言葉に深く同意。

「フランス、悪くない。
 が、あの国はオーソドックスが基本だ。
 ジャズには”開いてる”。 が”固い”。」

自慢じゃないけど、わたしはこの会話の時点で大がドイツに行くことがわかりました。
ジャズがドイツで受け入れられている、という一般の人への意外性、
ブルーノートのアルフレッド・ライオンがドイツ人であることや、
山下洋輔渋さ知らズがドイツで評価されていることなどを考慮すると、
大の向かう先はドイツ以外には考えられない。

インフラコムだとか、もっと遠く北欧まで行ってニュージャズとも接近すると面白そうだけど、
そういう方向には行かないだろうなあ。
それこそ、石塚氏は「オーソドックス」な人っぽいから
(ただ、「IN BETWEEN」なんてJAZZANOVAなタイトルの話もあるので、ちょっとだけ期待、といったところか)。

フランスは「開いてる」けど「固い」ってのはなかなかいい表現だと思う。
スティーヴ・レイシーまではOKだけど、エリック・トラファズは行き過ぎ。

そういうところも京都に似てるような。

あと、ボートラの師匠の言葉、

「え? もちろんあいつは最高だと思うけど、
 どっちが上かで言ったら、まあ
 ボクでしょうね。

 あいつだけじゃなく、
 ボクもこう
 上がってるワケですから。

 まだまだです。
 あいつはまだまだ青い。」


が最高。
指導者はこうでないとね。