[book]『知性だけが武器である』白取春彦(祥伝社、2016年)
ふと書店で目にして、手に取った本。
- 作者: 白取春彦
- 出版社/メーカー: 祥伝社
- 発売日: 2016/03/30
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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1年で一回くらい、こういう教養ノウハウとか整理術の本読んじゃうんだよなあ。
以下、気になったところを。
本を読む際、次の4点をおさえておけば、今後の役に立つし、忘れることは少ない。
1 その論の主旨。
2 論の根拠。
3 論の前提となっている知識・観点・価値観と、その論が生み出された歴史的背景。
4 その論の構造(著者が多くの知識をどのようにつなげているか)
わたしは、これに加えて
「誰を読者として書かれた本か」
「その研究史などの文脈ではどのように位置づけられる本か」 も考えるようにしている。
・三種類の「理解する」
1 雑多にしか見えない対象を、明瞭に整理分類できたとき。
2 論理的なわかり方。
3 日常的な事柄との比較や置き換え(言い換え)で「わかる」
4種類の「考える方法」
1.連想する
2.書いて考える
3.立って考える
4.リラックスして考え直す
2と3の違いが明確でないが、要するにこの段階は「練り上げ」の段階のことのようだ。
で、教養とやらが深まって、何の役に立つの?
――自分で考えろ。わたしならそう言い放つところだ。
いちいちそんな質問に答える必要はないと思うが、白鳥氏の答えはこう。
…たとえばゲーテの晩年の有名な戯曲作品『ファウスト』においては、女性という言葉は単に片方の性別を表す意味ではなく、人間を救う全的な愛(アガペー)を強く意味していると行った具合だ。
そんなことがわかってどうなるか。たしかに、明日からのいくばくかの生活費を稼ぐようには役立たない。しかし、世界を変えることには大いに役立つのだ。
世界を変えるという今の言い方は暗喩でも過剰な表現でもない。なぜならば、自分の眼前に広がる世界の有り様とその意味は、自分の血の量と深さが形成する認識の仕方によっていくらでも変わりえるからである。
それは世界の発見であると同時に、自己の再発見でもある。見えてくるものが変わるのだから、それにつれて確実に自分も変わり続ける。ふつうに本を読んだ場合でもこの変化は生じるのだが、精読はこの変化をさらに強く激しくするのである。